木型とパターンで最上級の履き心地に導く
テス・モードの創業者である髙橋敏明社長は、親族が営む靴メーカーで木型やパターンの技術を培って、当時では珍しいシューズのデザイン業として独立。国内アパレルブランドのコレクションシューズを始め、アーティストやタレントの衣装用シューズを製作してきた。そして1982年にテス・モードを創業し、OEMでエレガントなレディースシューズを中心に生産。その中には高さ9センチのハイヒールもあるが、走れるし脱げないという喜びの声が届いている。髙橋社長が作るのは、履き口が絞られていても足入れが良く、骨格を理解した上で肉付けされた木型。高度な技術を必要とする緻密な設計によって快適な履き心地を叶え、見た目も美しく仕上げている。
大手メーカーとイタリアを経て生み出すデザイン
テス・モードは2020年、に、オリジナルブランド〈アテス(ATES)〉を設立。得意とするエレガントなデザインに特化した、レディースシューズブランドである。ブランド設立のきっかけは、友人のためにサンプルの作成で余った原材料を使い、自分たちが履きたいと思うシューズを作成していたことに由来する。〈アテス〉を手掛けているのは、国内大手シューズメーカーでデザインを担当していた経歴を持つ、テス・モードのデザイナー。国内大手シューズメーカーで大ヒット作を生み出したのち、3年弱ほど靴の本場であるイタリアで、シューズのデザインを学んだ経験を持つ。そのセンスはOEMのクライアントからも厚い信頼を寄せられ、新たにブランドを立ち上げる際は相談を受けることが多いそうだ。
目の肥えた人も唸るような良質な靴を
〈アテス〉が作るのは、良質を知る女性に向けた靴。鋭い審美眼を持つ人たちは、ネームバリューや価格の安さなどだけではなく、しっかりと自身が気に入ったものだけを厳選して手に取る。琴線に触れたものであれば、高価や安価、さらには世代やテイストまでも気にせず購入するだろう。そういった人たちが選び、大事に履いてもらえるシューズを作るべく〈アテス〉は始動した。「いい素材を使っていて、デザイン性とクオリティが高い靴を探しているなら、まずは〈アテス〉を見てみよう。そう思ってもらえるような靴作りをしていきたいです」とデザイナーの彼女は話す。〈アテス〉は、パンプスからブーツ、スニーカーまでを展開し、あらゆるシーンに合わせられるように幅広いラインナップを誇る。カジュアルなデザインでも、ラフすぎず上品さが漂っているのがテス・モードらしさ。前述したとおりのテス・モードの技術をもとに製作しているため、履き心地の良さは言うまでもないが、〈アテス〉ならではのこだわりも詰まっている。踵の芯材には、履くことで吸汗して柔らかくなり、足の形に馴染んでフィットする革を使用。設計段階から何度もフィッティングを繰り返し、微調整を施したことで、さらに快適な履き心地を追求している。すべての工程を社内で完結しているため、思い描いたとおりの一足を高い完成度で仕上げているのだ。
靴を選ぶことの本質をも伝えるブランドとしての姿勢
デザイナーに、イタリアへ留学していた当時感じたことを聞いてみると、このように答えてくれた。「日本は流行に敏感ですが、イタリアではそこまで気にしていなくて、その代わりに強いこだわりを持っていると思いました。一見ファッションに関心が薄い人でも、素材や品質がいいものを身につけているという印象です」。その言葉は〈アテス〉にも共通するように感じる。上質なものを長く履きたい、自分らしくオシャレを楽しみたい。そんなワンランク上のライフスタイルを求める人には、〈アテス〉のシューズがぴったりだ。